事業承継対策が大きく変わる!?
中小企業庁「中小企業の事業承継の実態に
関するアンケート調査」(2006年10月)によると、
中小企業経営者の個人資産に占める
事業用資産の内訳の半数以上を占めるのが
自社株と事業用土地だそうで、
普通に遺産分割すべきでない資産の割合が多い
経営者がほとんどかと思います。
中小企業経営者にとって、
換金性のない自社株式に対して
多額の相続税が課されることも非常に大きな負担です。
こうした問題がある中、
円滑な事業承継ができるようにするために設けられたのが
「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例」です。
この制度は、後継者が現経営者から
自社株式を贈与あるいは相続・遺贈によって取得した場合、
一定の条件を満たして所定の手続きを行うと、
贈与税・相続税の納税が猶予されるというものです。 ただし、納税猶予を受けたあとに
要件を満たさなくなった場合は、
猶予された税額をすべて納付することになります。
そのため、納税猶予を利用するのであれば、
その後の会社経営に関してきちんと見通しを立て、
事業を継続していく必要があります。
相続税をいかに引き下げるかだけを考え、
株価を抑えるために利益を出さないようにしたり、
不必要な会社分割をしたり、
自社株式を親族にばらまくなどといったことも
散見されますが、いずれも会社経営上、
健全性を欠くものであり、かえって会社の寿命を
縮めることになりかねません。 会社を継続させるため、スムーズな事業承継ができるようにするために設けられたのがこの特例です。
改正内容で注意すべき点はいくつかありますが、
注目したいのは、贈与時および相続時の税負担が無く、
後継者に自社の株式を承継させることが可能となりました
ので(特例制度を適用するには、2018年4月1日から2
023年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に
提出する必要があります。)、
すべての株式が納税猶予の対象となったことで、
これまで以上に後継者ではない相続人の
特別受益・遺留分に配慮する必要がでてきたことです。
※株式に関わる税金の納税が猶予されるという
税法の世界の話と相続財産としての民法の世界の話は別!
後継者ではない相続人からの遺留分減殺請求に対して
どのように準備するのか、「争族」とならないためにも、
想いを伝え、早くから準備をすることが大事です。